薄濁りの視界から

朝目が覚めたとき、

幾らかの泪が頬を濡らしていた。

枕も湿り気を帯びている。

毎日のように貴方は夢で私に会いにくる。

わざわざ夢で会わなくても

本当に会いにきてくれたらいいのに。

私はリビングに置いてある貴方のホルマリン漬けに小言を言う。

日に日にしおれていく貴方は

私からは離れられない。

夢でしか笑うこともできない。

朝食の目玉焼きを焼きながら、

私の籠の中の貴方を見つめている。

いつか私もそこにいきたい。

少し硬めの目玉焼きを頬張りながら、

昔の男の籠を奥に追いやった。